私的な散文

私的な散文を徒然に綴っていきます

病院幻想交響曲 幻想交響曲がみえる

ある夜中、いつもの気の訓練が終わり、奴の急襲もなく、般若心経を唱え、瞑想していると・・・
ファンコイルユニットの低音の響きが可視化してきた。
視野の下の方でグレーの帯となり、右から左に流れている。
流麗なメロディーが流れて、その帯に何らかの記号で刻まれて行く。
一つのメロディーに他のメロディーが折り重なり、また異なるメロディーが重なる。
次第に重層的になり、重量感のある華麗な音楽が、その帯に刻まれて行く。
逆に、帯に刻まれた複雑な7色に輝く記号から、音楽が生じているようにも見える。
その帯自体が美しく揺れ動くオーロラの様で見ていて感動する。
絶妙なハーモニーも重厚だが明るく、この世には無い様な響きである。
暫くその視覚聴覚に訴えるような心地よさに酔いしれていると、帯の上にスクリーンが現れた。
そのスクリーンでは地球上のあるいは宇宙のこの上もなく美しい映像が繰り広げられる。
そうするとその周囲に複数の小さなスクリーンが現れ、世の中の悲惨なこと等のマイナスイメージの映像が映し出される。
そうすると下の帯のハーモニーに濁りが生じる。
私は何故かその濁りを取る術を知っている。
小さなスクリーンにフォーカスし瞼でクリックするのだ。
瞼クリックでどんどん負の映像を消していく。
一時するとまた泡のように小さなスクリーンが現れる。
すぐさま瞼クリックで消していく。
私は松田聖子にボーカルで入って欲しいと願う。
すると松田聖子の張りのある綺麗な歌声がハーモニーと渾然一体となって、ますますこの世とは思えない響きを奏でる。
私は思った。
これが本当の交響曲だ。
しかも見える。
交響曲が見える。
例えば、ブラームス交響曲第4番第1楽章を聞いていると、木枯らしが吹きすさぶ真冬の荒野、どんより垂れ込めた雲の向こうにボンヤリ光る太陽が見える・・・といった情景が頭に浮かぶが、そのような連想とは異なり、実にビジュアルな交響曲だ。
まさに幻想交響曲
私はその心地よさに身を投じながら、打算する。
こんなフィルムクリップ的な映画を製作したら、間違いなくアカデミー賞ものだぞ。
CGを駆使して、松田聖子に出演依頼して、監督賞、音楽賞、技術賞と総なめだ。
私は一躍有名人、アカデミー賞受賞式の挨拶を考えておかねば・・・記者会見の時の衣装は???
メロディーは頭に入った松田聖子ちゃんのパートはスティービーワンダーに依頼しよう。
あと大切なのはCGや特撮の特殊効果だ。
音響もプロに依頼しないと・・・

そうこう考える内に眠りに陥ってしまった。