私的な散文

私的な散文を徒然に綴っていきます

般若心経戦争

夜中に目が覚めた。
夜中の2時頃。眠れない。
頭の中で“般若心経”をゆっくりと唱える。
ブッセツ、マカハンニャーハラミターシンギョウー・・・カンジーザイボーサーギョージンハンニャーハーラーミータージー・・・
何回か唱えると落ち着いてくる。
その時、頭の中の声が次第に変わっていく。
またあいつだ!Kだ!
またちょっかい出しに来やがった。
私の般若心経を乗っ取りに来たのだ。
馬鹿め、今やエスパーとしての実力は私の方が上だ。
様子を窺っていると段々調子に乗ってくる。
この野郎調子に乗りやがって!
次第に怒りがこみ上げてくる。
この怒りをはじめ激しい感情が超能力を助長するようだ。
打つ手は決まっている。
前の“音楽戦争”でコツは掴んでいる。
早速奴の般若心経をねじ曲げる。
音程を上げたり下げたり、調子を延ばしたり縮めたり・・・思うがままに翻弄している・・・つもり・・・
額に汗が浮かぶ今回は奴も覚悟して来ているようだ。
必死にスムーズな般若心経を取り戻そうとしている。
奴も自分の汚い部屋で額に汗を浮かべ、苦悶しているのだろう。
般若心経の調子が戻ったり、乱れたり、私の頭の中に異様な音響空間が生まれている。
まずい、このままでは精神的破綻が訪れる。
私は額に皺を寄せ、最後の手段にでる。
名付けて“リピート作戦”、強い念力を込める。
ギャーテーギャーテーハーラーギャーテーハラソワギャーテーボージーソワカーハンニャーシーンーギョーーーーー・ハンニャーシーンーギョーーーーー・ハンニャーシーンーギョーーーーー・シーンーギョーーーーー・シーンーギョーーーーー・ギョーーーーー・ギョーーーーー・オーーーーー・オーーーーー・オーーーーーーーーーーー・・・・・・
これで奴はクタバるが、少し休憩して復活してくる。
“リピート作戦”を数回繰り返すと、奴もさすがに諦めたようだ。
私はトドメを刺すため、奴の霊体を引き剥がすべく、念力を込める。

あー今日も疲れた。こんな調子ではなかなか回復出来ないぞ。

そうか奴はKは、それを狙っているのか。
しかし今日はこの位にしておこう。